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Column #04

地震に備えるタワーマンション3つの構造の違い

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超高層の建物であるタワーマンションは、他のマンションに比べて非常に厳しい基準の耐震性能をクリアして、国土交通省の大臣認定を受けたうえで建築されています。そんなタワーマンションの構造の種類は、主に「耐震構造」「制振構造」「免震構造」の3つの構造タイプに分けられています。ここでは、それぞれの構造の特徴について紹介します。

地震に備えるための高層建築物についての法令

高さが60メートルを超えるタワーマンションは安全上必要な構造を有したうえで、国土交通大臣の認定を受けることが義務付けられています。

2016年には国土交通省より南海トラフ地震による長周期地震動への対策強化について関係団体あてに通知が出されました。南海トラフ沿いの対象地域内でタワーマンションを含む超高層建築物を新築する際に大臣認定の運用が強化され、既存の建物も必要に応じた補強等が促されます。

建築会社においても長周期地震動の存在は認識されており、地震研究の成果を耐震構造の技術開発に活かすべく、継続的に研究が行われています。

国土交通省 建築基準法 第二十条
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO201.html

国土交通省 超高層建築物等における南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動への対策について
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_fr_000080.html

タワーマンションの3つの構造について

地震に対応する耐震構造・制振構造・免震構造の3つは、それぞれ構造体が異なり、地震時の揺れ方も変わります。3つの構造形式の特徴や違いについて見ていきます。

・耐震構造について

耐震構造とは、建物そのものが地震に耐えられる強さで造られている構造体のことです。建物を支える重要な部分に、頑丈な柱・梁(はり)・壁などが使われています。この構造は、地震の揺れを抑えたり、その力を吸収したりして、建物に直接揺れが伝わらないようになっている制振構造や免震構造とは違い、揺れをそのまま受け止めるタイプです。

そのため、揺れの影響が他の構造よりも出やすくなってしまう特徴があります。耐震構造のメリットは、グレードに応じた経済的なコスト設定が可能なところにあります。バランス良く壁を設置することで、コストを抑えられるためです。

揺れが大きく伝わるため、大地震のあとは、損傷度合いを調べて修復作業が必要になりますが、「建物自体の倒壊を防ぐ」ことを目的として作られている構造です。

・制振構造について

制振構造とは、地震のエネルギーを吸収する制振部材(いわゆるダンパーなど)を建物内の骨組みの部分に設けて、振動や衝撃を和らげる構造体です。高層鉄筋コンクリート造の重い建物の場合は、各階に制振部材を設置し、鉄骨造の軽い建物の場合は最上階に制振部材を設置します。そのため、耐震構造に比べて建物重量を支える重要な部分の損傷を抑えることができます。

耐震構造と比較すると、地震によって建物が揺れるのを抑える効果があり、高層マンションであるタワーマンションに向いているとされている構造体です。耐震構造と同様に、高層階で揺れが大きくなる層間変形は大きくなりますが、耐震構造よりは抑えられるといわれています。

また、建設費に占める制振部材費用の比率は小さく、免震構造と比較して経済的に高い耐震性能が得られることから、超高層のタワーマンションでも採用されることの多い構造です。

・免震構造について

免震構造とは、地面の上に免震装置(積層ゴムと呼ばれるものなど)を設置し、地震の振動を吸収し建物に揺れが伝わるのを防ぐ構造体のことです。免震装置があることで、地震発生時には地面と建物が切り離されます。これにより、建物が受ける影響が少なくなり、揺れも低減されるのが特徴です。

免震構造では、地震の時の揺れを通常の1/3程度にまで軽減することができるとされています。揺れ方については、耐震構造・制振構造に比べると小さく抑えられ、層間変形も小さいため、建物がゆっくりと揺れて、大きな船に乗っているような感覚になるそうです。

また、建物内の揺れが抑えられることから、室内の家具や設備配管の破損、転倒の危険も軽減されます。ただし、免震構造の場合、他の構造よりも建築費用は高めになります。定期メンテナンスを要する免震装置の高い維持費もかかるという一面もありますが、自由度の高い建築計画が可能です。

免地震発生時のエレベーターについて

建築基準法では極めて稀に起こる震度6強~震度7の大きな地震に対してエレベーターかごの脱落等の防止することを義務付けています。また一定以上の揺れを感知した際は自動的に最寄りの階に停止し開扉する地震時管制運転装置の設置も義務付けられています。

高さ31メートル以上の建築物には、建築基準法で非常用エレベーターの設置が義務付けられています。そのため超高層建築であるタワーマンションには非常用エレベーターが必ず設置されているということになります。この非常用エレベーターは災害時の救助活動に利用されるもので、震災による停電時にも予備電源で動作します。

国土交通省 超高層建築物にかかる建築基準法の基準について
https://www.mlit.go.jp/common/000032706.pdf

国土交通省 エレベーターの安全にかかわる技術基準の見直しについて
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_fr_000012.html

建築基準法第百二九条十 3 二
https://gyazo.com/02e14c431b22133c55ecf5b0694bd295

タワーマンション生活での地震対策について

タワーマンションで地震に遭った場合を想定して、各自で地震対策をしておくと、いざという場合にも落ち着いて対処することができます。

たとえば「家具の転倒防止対策」「非常用持出品の準備」「避難経路の確認」などはしっかりと準備しておくと良いでしょう。

防災グッズとしては「停電時も情報収集できるラジオ」「懐中電灯」「軍手」「トイレットペーパー」「飲料水・非常食」などの準備が推奨されています。

なお物件によっては防災備蓄庫が用意されている場合があるので、備蓄庫の有無、場所、備蓄品の内容などについて確認しておくようにしましょう。

まとめ

地震に備えた構造の特徴をお伝えしてきましたが、地震の規模や種類によっても効果は変わってきます。タワーマンションの場合、揺れの影響が大きいことが想定されるため、「制振構造」「免震構造」が選ばれるケースが多く見られます。また「制振」と「免震」の2種類の構造を組み合わせるケースもあります。

このほか、タワーマンションでは災害時の避難や救助活動を円滑にするエレベーターが設置されています。災害に備えた物資の備蓄についても知っておくようにしましょう。

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