賃貸契約の初期費用や家賃はクレジットカード払いできる?ポイント還元はどうなる?

費用・お金

2020年2月28日更新

筆者:竹内 英二 不動産鑑定士・賃貸不動産経営管理士

竹内 英二

不動産鑑定士・賃貸不動産経営管理士

賃貸契約の初期費用や家賃はクレジットカード払いできる?ポイント還元はどうなる?

賃貸契約において、初期費用や家賃の「クレジットカード払い」が可能な物件が近年増えつつあります。家賃については毎月大きな金額を支払うことになりますから、それによってカードのポイントが貯まるとしたら、入居者としてはかなりうれしいメリットになるのではないでしょうか。この記事では「初期費用や家賃のクレジットカード払い」について解説します。

記事の目次

  1. 初期費用や家賃はクレジットカード払いが可能?
  2. 初期費用や家賃をカード払いにすると何ができる?
  3. 注意も必要?クレジットカード払いの注意点
  4. ポイント還元制度を導入している物件も
  5. まとめ

初期費用や家賃はクレジットカード払いが可能?

最初に、そもそも初期費用や家賃のクレジットカード払いは可能なのでしょうか?

カード払いOK」が増加中!大手不動産でも導入が進む

家賃のカード払いは、空室対策に有効な手段の一つとして5~6年ほど前から貸主に知られるようになり、以来、徐々にその数を増やしてきました。

カード払いができるかどうかは、物件の「管理会社」と「貸主」の2者の了解が必要です。カード払いを導入すると、貸主に約5%弱のカード手数料が発生します。不動産会社など、カード手数料が引かれても十分な経営体制が整った組織が貸主となっている場合は、他の物件と差別化するためにカード払いOKとしている物件が多くなってきています。

「初期費用だけOK」という場合も

一方、カード払いに応じている場合でも「初期費用だけOK」や「家賃もOK」など、物件によって条件は異なります。
利用者からすれば、より大きな金額を支払う初期費用をカード払いにできるのはうれしいもの。カード社会への移行が加速する中、今後、物件選びにおいても大きな着目ポイントの一つになりそうです。

賃貸物件の初期費用については「一人暮らしの初期費用、どのくらいかかる?安く抑える方法とフリーレントについて」も併せてご覧ください。

初期費用や家賃をカード払いにすると何ができる?

ではあらためて、借主にとって、初期費用や家賃をカード払いにすることにより、どんなことが可能になるのでしょうか。

クレジットカードのポイントが溜まる

クレジットカード払いにするメリットのひとつとして、カードのポイントが溜まることが挙げられます。空室対策の一環としてクレジット払いの物件が増え始めたのは、まさにこの点が注目されたことによるものです。
クレジットカードは、一般的に支払額の約1%がポイント還元されます。例えば毎月10万円の家賃をカードで払えば、毎月1,000円もポイントが溜まることになります。

家賃は毎月の生活費の中で一番大きな支出と言えるもの。その大きな支出にポイントがつくのは魅力的です。

光熱費等と支払いをまとめると家計の管理が楽

管理会社の中には、家賃と水道光熱費等をまとめてカード払いできるサービスを提供している会社もあります。このような物件に入居できれば家計の管理はさらに楽になりますし、ポイントもさらに溜まりやすくなります。物件を選ぶときの一つの要素として注目してみてもよいかもしれません。

初期費用を分割払いにできることも

クレジットカード会社によっては、一括決済をした後に分割払いに変更できるサービスがあります。引越しは大きな出費を伴うもの。まとまった出費をなるべく避けたい方はぜひ利用してみてください。

注意も必要?クレジットカード払いの注意点

物件情報に「クレジットカード払いOK」と書いてあっても、実際にはいろいろな制限がある場合もあります。ここでは、クレジットカード払いにおける注意点について解説します。

家賃はポイント対象外の場合も

クレジットカードには、ポイント付与ができるサービスと付与できないサービスがあります。例えば、多くのカード会社では保険料の支払いや電子マネーへのチャージ等についてはポイントを付与していません。
初期費用や家賃のカード払いを行うときは、まず保有カードが家賃決済をポイント対象としているかどうかを確認するようにしてください。

カードの指定がないか確認する

すべてのカードが使えるわけではなくカードが指定されているケースも存在します。
このような場合は、「カード払いができないから」と言って物件を諦めるのではなく、指定に合わせて新たにカードを作るのも一つの方法です。そのカードに生活費や電気代、ガス代などの支払いも統合すると管理が便利になりますので、検討してみてはいかがでしょうか。

クレジットカードの利用限度額を超えないかチェック

クレジットカードには利用限度額がありますので、まとまった金額となる家賃をカードで払うためには利用限度額を超えないよう気にしておく必要があります。
大きい買い物や旅行などの出費があった場合は要注意です。あらかじめ、余裕を持った限度額を設定することが必要です。

引き落とし日に合わせてお金を入れておく必要がある

家賃に限らず、クレジットカードを利用する際は引き落とし日に合わせてお金を引落口座に入れておく必要があります。うっかり忘れてしまうと引き落としができず、カード利用の信用に傷がついてしまうことになります。
特に給与の振込口座とクレジットカードの引落口座を分けている方は、常に一定の現金を口座に入れておくよう気を付けましょう。

リボ払いや分割払いは手数料がかかるので注意

リボ払いや分割払いなど手数料が発生する支払方法を選ぶと、本来支払うべき金額に手数料が上乗せされて、想定よりも高額になっていってしまうリスクがあります。毎月家賃を用意するのが厳しいようであれば、別の物件や引越しを検討したほうが、長期的に見てメリットが大きいことも。

初期費用のボーナス払いは可能?

カードによる支払いは、カード会社があなたの支払いを一時的に立て替えする仕組みであり、支払いの手続きをした時点で全額がカード会社から支払先へ入金されています。ボーナス払いを行ってもこれは同じですので、カードにボーナス払いの機能があれば、それを利用してボーナス払いをすることも可能です。
ただし、ボーナス払いの利用期間や支払日はカード会社によって異なりますので、サービス内容を十分に確認した上で利用するようにしてください。

ポイント還元制度を導入している物件も

消費税増税を受けて、家賃でもポイント還元制度の導入を行っている管理会社があります。ポイント還元制度は2019年10月から9カ月間(2020年6月30日まで)行われ、還元率は最大5%です。

ただし、ポイント還元を受けるには管理会社が「キャッシュレス・消費者還元事業」を行っていることが必要です。この事業を行っていない管理会社では、クレジットカード決済を行ってもポイント還元はできません。
2020年6月30日までに物件に入居する場合は、このポイント還元を行っている管理会社かどうかもぜひ確認してみましょう。

まとめ

以上、初期費用や家賃のクレジットカード払いについて解説してきました。
カード払いができる物件では、家賃を支払うだけでポイントが溜まってお得です。カードOKの物件も徐々に増えていますので、物件選びの一つの条件にしてみてはいかがでしょうか。