住みタイム 東京都世田谷区

「いらっしゃい。今日も新鮮な魚が入ってるよ」。あちこちから威勢のいい声が聞こえるここは、「下高井戸駅前市場」。甲州街道の宿場町として栄えた下高井戸で、半世紀以上の歴史を持つ昔ながらの市場です。鮮魚店、惣菜店など、さまざまなお店が軒を連ね、買い物をするには持ってこい。市場ならではの活気にあふれ、店主とお客さんが楽しそうに会話を交わす…そんな人の温もりを感じる光景に触れたくて、目的もなくつい訪れたくなる場所です。

春には約840本のサクラが咲き乱れる花見の名所「砧公園」も、和やかで温もりのある光景が見られる場所。広大な芝生が広がるファミリーパークでは、陽だまりで本を読むペットを連れた住民や、レジャーシートを敷いてピクニックをしている家族、裸足でボールを追いかけている子どもの姿も見られます。住みたい街のランキングで常に上位に入る三軒茶屋や二子玉川など、セレブなイメージの強い東京都世田谷区ですが、こうした穏やかな暮らしの風景も大きな魅力なのです。

「砧公園」内にある「世田谷美術館」や、三軒茶屋のキャロットタワー内にある劇場「世田谷パブリックシアター」も、地域の教育機関と連携したイベントを行うなど、街に暮らす人たちを大切にしています。

そんな東京都世田谷区の文化施設のなかでも、ひと際個性的なスポットが桜新町にあります。人気漫画『サザエさん』の作者・長谷川町子のコレクションを収蔵する「長谷川町子美術館」です。『サザエさん』の連載開始の同年から桜新町に住み始めた長谷川町子。以来、この地はサザエさんゆかりの街として親しまれ、長谷川町子とその姉・毬子が蒐集した美術品を展示する長谷川町子美術館が開館しました。『サザエさん』はもちろん、『いじわるばあさん』や『エプロンおばさん』の原画も展示され、大人も子どもも楽しめる場所として、長年地域の人たちに愛されています。